ブルンストロームステージ(Brunnstrom Stages)は、脳卒中(脳梗塞や脳出血など)によって引き起こされる運動麻痺の回復過程を評価するための指標です。このステージは、スウェーデンの理学療法士シグニー・ブルンストローム(Signe Brunnstrom)によって提唱されました。ブルンストロームは、脳卒中患者の運動回復が特定の順序で進行することを観察し、これを6つのステージに分けました。
ブルンストロームステージの概要
- ステージ 1:弛緩期(Flaccidity)
- 特徴: 患側の筋肉に全く動きがなく、筋緊張も低下している。
- 臨床的意義: 最初の急性期であり、全く自発的な運動が見られない状態。
- ステージ 2:痙縮の出現(Appearance of Spasticity)
- 特徴: 筋肉の痙縮(spasticity)が現れ始める。基本的な筋収縮が見られるが、非常に弱い。
- 臨床的意義: 最初の反射的な動きが戻ってくる段階。
- ステージ 3:痙縮の増強(Increased Spasticity)
- 特徴: 痙縮が最も強くなる。基本的な運動パターン(フレクション、エクステンション)の動きが可能になるが、他の運動パターンは困難。
- 臨床的意義: 患者が自発的に運動を開始できるが、動きはぎこちない。
- ステージ 4:痙縮の減少(Decreased Spasticity)
- 特徴: 痙縮が徐々に減少し、より多様な運動パターンが可能になる。
- 臨床的意義: より複雑な運動が可能になり、日常生活動作が改善される段階。
- ステージ 5:より複雑な動きの発現(Further Decrease in Spasticity)
- 特徴: 痙縮がさらに減少し、より複雑な運動ができるようになる。
- 臨床的意義: 精緻な運動が可能になり、ほぼ正常に近い動きができる段階。
- ステージ 6:痙縮の消失(Disappearance of Spasticity)
- 特徴: 痙縮がほとんど消失し、正常な運動機能がほぼ回復する。
- 臨床的意義: 自由な運動が可能であり、運動機能が正常に近づく。
ブルンストロームステージの利用
ブルンストロームステージは、リハビリテーションのプランニングや進捗の評価に広く使用されています。各ステージに応じたリハビリテーションのアプローチが異なるため、患者の状態を正確に把握し、それに応じた適切な治療を行うことが重要です。また、ブルンストロームステージは、治療の効果を客観的に評価するための基準としても利用されます。
このステージは、理学療法士、作業療法士、およびその他の医療専門家によって、患者の運動機能の回復過程を理解し、最適なリハビリテーション戦略を設計するためのガイドラインとして役立っています。
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