神経細胞について

・ヒトの神経系には、非常に多くの神経細胞が存在している。個体により異なるが、一般的な推定値では、脳には約850億〜1,000億個、身体には、自律神経系や末梢神経系に存在するが、これらの数は脳のニューロンほど多くはない。

・神経系の主な働きは、刺激に対しての反応や、他の器官系との協調。

1.細胞体(cell body,soma:ソーマ)

 細胞核などの細胞小器官、細胞質が含まれる神経細胞の中心。樹状突起と軸索がくっついており、情報処理や細胞の生存に必要なタンパク質や栄養素を合成する場所。

2.樹状突起(dendrite:デンドライト)

  神経細胞体から分岐し、他の神経細胞から刺激を受け取る部位。基部で太いが、末梢にいくにつれて枝分かれし細くなる形態。受容体をもち、シナプス結合を介して他の神経細胞からの化学的刺激を受け取り、細胞体に伝える役割を担う。

3.軸索(axon:アクソン)

 神経細胞体から伸びる単一の細長い突起。基部で細いが、そのまま末梢まで全長でほぼ同じ太さを保つ。樹状突起で受けた電気信号を、さらに隣の細胞に伝達する役割を果たす。軸索の長さは大きく異なり、長いニューロンは、数十㎝のものもある。周囲に髄鞘(ミエリン鞘)と呼ばれる、脂質でできた絶縁体があるものは、有髄神経とよび、信号伝達はずっと速い(跳躍伝導)。

        ex.有髄神経:運動神経や感覚神経、100m/秒以上

         ↔️無髄神経:自律神経(節後神経)、1m/秒以下ニューロンと神経細胞との違い

ニューロンと神経細胞の違い

神経細胞とニューロンは同意義として使用されることが多い。ニューロンは、日本語では「神経単位」と訳され、細胞体・軸索・樹状突起を合わせて一つの機能単位として呼ばれる。

ニューロンの特徴

ほとんどのニューロンは、細胞分裂時に染色体の移動の役割を果たす中心体がない。そのため、ニューロンは細胞分裂ができない。傷害や病気などによって損なわれると再生することがない。これは、神経細胞が分化する過程で中心小体を失ったためである。

神経線維とは?

神経細胞の細胞体から延びる細長い突起を意味し、主に軸索のことを指す。

医学用語としては”神経線維”と表記、生物学用語としては、”神経繊維”と表記することがある。

形態や機能により分類される

1.形態的分類

a.無軸索ニューロン(anaxonic neuron)
 小型で、軸索が髄鞘に覆われておらず、樹状突起が判別できない。自律神経系の一部に認められる。

b.双極ニューロン(bipolar neuron)
細胞体の片側に1本の樹状突起を、対側に1本の軸索を持つ。軸索が髄鞘に覆われいない。主に、視覚、聴覚、嗅覚情報の中継する部位に認められる。

c.単極ニューロン(unipolar neuron)
1本の樹状突起と1本の軸索を持つが、細胞体はこれらの突起から離れて存在する。末梢神経の感覚ニューロンとして存在する。この軸索は、有髄神経線維である。

d.多極ニューロン(multipolar neuron)
 多数の樹状突起と1本の軸索を持つ一般的なニューロン。全て有髄神経繊維で、脳や脊髄に存在し、情報の処理や伝達、運動ニューロンとして存在する。

先生
先生

ニューロンの基本構造の軸索、樹状突起、細胞体の数や位置関係での分類だ!

2.機能的分類

a.感覚ニューロン(sensory neuron) 
 感覚受容器から刺激を受け取り、中枢神経系(脳や脊髄)に伝える役割を担う。感覚ニューロンの軸索は求心性線維afferent fiberと呼ばれる。約1,000万個あり、ほとんどは単極ニューロンで、その細胞体は、感覚器官にある。

b.運動ニューロン(motor neuron)
 中枢神経系からの信号を、筋肉や腺体など末梢の効果器に伝える役割を担う。運動ニューロンの軸索は遠心性線維efferent fiberと呼ばれる。約50万個あり、骨格筋を支配する運動ニューロンの細胞体は脊髄の前角に、軸索は神経筋接合部まで伸びている。運動ニューロンの軸索は、長いもので数十㎝に及ぶ。

c.介在ニューロン(interneuron)
 脳や脊髄内に存在し、感覚ニューロンと運動ニューロンの間で、情報の中継や調節を行う。刺激に対しての反応が複雑になるほど、より多くの介在ニューロンが関与している。作用により、さらに興奮性ニューロンexcitatory neuron抑制性ニューロンinhibitory neuronに分類される。

主に、「中枢神経系」「末梢神経系」に分類される。

1. 中枢神経系(CNS:Central Nervous System)

  脳(Brain):情報処理、記憶、意識、運動など高次の機能を担う。

 脊髄(Spinal cord):脳からの指令を受け取り、末梢神経へ信号を伝達する通路。

2.末梢神経系(PNS:Peripheral Nervous System)

   運動神経系(Motor nervous system):

   中枢神経系からの指令を筋肉や腺に伝達し、運動を制御する。

   感覚神経系(Sensory nervous system):

   外部環境や身体内部の刺激を知覚し、中枢神経系に情報を送る。

   自律神経系(Autonomic nervous system):

   内臓器官や血管系の自律的な機能を制御し、呼吸、循環、消化などの生理的な機能を制御する。

これらの部分が組み合わさり、神経系は身体の機能を調節し、外部環境からの情報を処理して行動を調整する重要な役割を果たしています。

☑️神経系は、1000億個ものニューロンがある。

☑️ニューロンは、細胞体・樹状突起、軸索で構成されている。

☑️神経系は、主に脳や脊髄からなる「中枢神経系」と、運動神経系や感覚神経系、自律神経からなる「末梢神経系」に分類される。


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